〜ドイツの縦割り保育で迎える進級の夏〜
3歳の誕生日を迎えた息子が,ついにドイツの保育園で「Kindergarten group」へと進級しました。
日本のように年齢ごとに一律でクラスが編成される“横割り”とは違い,ドイツの保育園は基本的に“縦割り”スタイル——つまり,異なる年齢の子どもたちが同じグループで過ごすシステムです。
今回は,そんなドイツの進級システムと,今まさにその渦中にいる息子の様子を,少しだけ紹介させてください。
目次
年齢ごとに区切らない,ドイツの保育園クラス構成
ドイツの保育園では,以下のようにおおまかにグループが分かれています。
- Baby group (約3ヶ月〜1歳ちょっと)
- Toddler group(1歳〜3歳)
- Kindergarten group(3歳〜6歳)
それぞれの年齢層の中に複数のクラスがあり,子どもたちは一人ひとりの発達状況や空き状況に応じて,柔軟に進級していきます。「4月になったら年少さん」といった一斉移動はありません。
息子の場合も,3歳を迎えたタイミングですぐに進級するのではなく,年長さんたちが小学校に進学するために退園した“夏の空き”を待って,新しいクラスへとステップアップしました。ちなみに,姉とは別のクラスです。
発達に応じた柔軟な進級
基本的には年齢が達したら次のグループに進みますが,発達状況によっては進級時期を延ばすことも可能です。
例えば,娘と同じToddler groupに在籍していたダウン症の子は,3歳の誕生日を過ぎても進級せず,4歳手前まで同じクラスで過ごしました。Kindergarten groupに上がると,通常は子ども20人に対して先生3人という体制になるため,十分な療育サポートを受けるには限界があります。そこで,その子はより手厚い支援体制の整った園へ転園していきました。
先生は変わらず,子どもが入れ替わる
日本との違いはもうひとつあります。
基本的に,クラス担任は長期間同じメンバーが受け持ち,年度ごとに担任が替わることはほとんどありません。代わりに,年齢や状況に応じて子どもたちがクラスを移動していきます。そのため,娘と息子は異なる時期に,同じクラスの先生たちにお世話になるという不思議な経験もできました。
以前に兄や姉を受け持っている分,先生たちは下の子のお世話をするときも,その子の性格や家庭の雰囲気をある程度掴みやすくなります。さらに,親ともすでに信頼関係ができているため,日々のやりとりや相談もスムーズです。
縦割りクラスのメリットとは?
モデルとなる年上の子どもがそばにいること
縦割り保育の最大の魅力は,なんといっても“自然なお手本”がすぐそばにいること。
特に言葉の発達において,年上の子どもが使う日常会話は,大人の言葉よりも理解しやすく,ちょっと背伸びすれば届くレベル感。遊びや生活の中で共通のコンテクストがあるため,「こういう時には,こう言うんだ」という気づきを,体験ベースで身につけていくことができます。
遊びの中でも,年上の子どもたちが披露する“ちょっとかっこいい工夫”やルールのあるゲームに触れることで,想像力や発想力がぐんと広がる——これはまさに,異年齢混合ならではの醍醐味だと感じています。
「一番年下」であることの試練
その一方で,「たったひとりで年上の世界に飛び込む」というのは,決して小さな挑戦ではありません。「一番年下としての参加」は,想像以上にストレスフルなことも。
Kindergarten groupの中には,もうすぐ6歳になる,ドイツ語がぺらぺらの子もいます。言語力も思考力も遊びのレベルも,まだ3歳になったばかりの息子とは大きく差があります。
しかもこの進級スタイルは,基本的に“一人ずつ”。同じ時期に一緒に上がる「同期」がおらず,その分,不安を共感できる相手もいないのです。まだ環境に慣れきっていない今,息子は毎朝少し緊張気味です。

どうやって進級するの?
ドイツの保育園では,進級プロセスもとても丁寧に行われます。
- Baby group → Toddler groupの進級では,前のクラスの先生が1週間ほど新しいクラスに付き添い,慣らし保育を行います。
- Toddler group → Kindergarten groupの進級でも同様に前クラスの先生が数日間,マンツーマンで付き添ってくれます。さらに,事前に午後の自由遊び時間を新しいクラスで過ごしてみるなど,段階的な慣らしも取り入れられます。
実際,息子も進級前から,パズル好きが高じて上のクラスに遊びに行くことがありました。幼児クラスのパズルでは物足りなくなった子どもたちに,難易度の高いパズルを通して,新しいクラスの空気に自然に慣れていく機会をくれたのです。
「1人の子に,1人の先生が付き添う」というこの体制。子どもの心理的負担を少しでも減らそうとする仕組みには,頭が下がります。現場の先生方にとっては,人手やスケジュールのやりくりが大変かもしれませんが,それでも一人ひとりに寄り添う姿勢は本当にありがたいものです。
おわりに 〜子どもの安全基地でありたい〜
いま,息子は「進級」という大きな挑戦に向き合っています。
周囲は自分より背が高くて,よく喋り,自信に満ちた子ばかり。そんな中にたったひとりで飛び込むのは,大人に置き換えても相当なプレッシャーです。
私にできることはただひとつ。親として,彼の「安全地帯」であり続けること。どんな気持ちも受け止めて,「あなたはあなたのままで大丈夫」と笑顔で伝え続けること。それがいま私にできる一番のサポートだと思っています。
そんな中,娘が息子にかけた言葉が,とても印象的でした。
「新しいクラス緊張するよね。私も上がるとき緊張した。でも大丈夫。何にも怖がることはないの。
もし,大きい子が何か意地悪言ってきたら,Erzieher(保育士)に助けて貰えばいいんだよ!」
さりげないけれど,お姉ちゃんのエール。家族みんなで,息子の新たな一歩を見守っています。
そして今朝も——
少し緊張した表情のまま,それでも前を向いて。息子は,新しいクラスの扉をくぐっていきました。
新しい日々が,息子にとって実り多いものになりますように。








Leave a Reply