11月の気配が近づくと,ドイツの街角は少しずつ冬支度を始めます。
そんななかで,子どもたちが毎年心待ちにしている行事があります。
St. Martin’s Day(聖マルティンの日)です。
目次
聖マルティンが残した「分かち合い」の物語
この行事の由来になったのは,古いキリスト教の物語。
寒い夜,馬に乗って巡回していた聖マルティンが,凍えた乞食を見つけ,自分のマントを半分に切って分け与えた──そんな慈悲と分かち合いのシンボルが,今も生き続けています。
その精神を子どもたちに伝えるため,ドイツでは毎年この時期になるとランタン(Laterne)を手に持って街を練り歩くパレードが行われます。
夜の闇の中を小さな灯りがゆらゆらと揺れる光景は,まるで光の川のようで,いつ見ても胸が温かくなります。
10月に入ると始まる、保育園でのランタン作り
わが家の楽しみはこのランタン作りから始まります。
毎年10月に入ると,保育園で「親子でランタンを作る会」があり,
今年も娘と息子それぞれと一緒に,世界にひとつだけのランタンを作りました。
絵の具やのりを塗ったり,カラーペーパーを貼りつけたり。
「ここ,キラキラにしたい!」と目を輝かせながらデザインを考える様子は,親として見ていて本当に愛おしい時間です。

完成したランタンを嬉しそうに掲げる子どもたちを見て,「あぁ,また今年もこの季節が来たんだな」と実感しました。
迎えた St. Martin’s Day 当日
当日の夕方,保育園に集合すると,まわりにはすでにたくさんの親子が。
色とりどりのランタンが灯りはじめ,外は一気に幻想的な雰囲気に包まれます。
子供達が聖マルティンの物語の劇を披露し,みんなで歌を歌ったあと,
いよいよランタンパレードのスタート。
今年は,なんと本物の馬に乗ったSt. Martinも駆けつけました。

子どもたちは誇らしげに自分のランタンを掲げ,
「Laterne, Laterne…♪」と歌いながらゆっくり歩いていきます。
暗い道に揺れる光。
そして、年に一度しか味わえない,特別な“秋の夜”。
パレードの後のお楽しみ:パンのプレゼント
パレードの終わりには,子どもたちにパン(Weckmann)が配られます。
このパンを手にした瞬間の,子供達の嬉しそうな顔。
「今年も頑張って歩いたね」というご褒美みたいで,親の私もほっこりします。
早速かぶりつく子供達。この日ばかりは夕飯が食べられなくても,まぁいっか。

分け合う心を灯りとともに
St. Martin’s Day は、ただの季節行事ではなく,“分かち合いの精神”を子どもたちが自然と体感できる日。
小さな灯りを掲げて歩く姿を見ていると,私自身も改めて,日々の暮らしのなかで誰かに優しくありたいと思わされます。
ドイツで迎えるこの行事は,これからも毎年,家族の大切な思い出のひとつになりそうです。







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