「離乳食は手作りしなければ!」
そんなプレッシャーに心をすり減らしている日本のママは,きっと少なくないはずです。かく言う私も,第一子を出産するまではその一人でした。
けれど,ドイツでの育児を経験してみて,目からウロコが落ちたのです。そこには,日本とはまったく異なる「肩の力を抜いた子育て文化」が広がっていました。
目次
ドイツでは離乳食は“買う”のが当たり前
ドイツのスーパーやドラッグストアに行くと,ベビーフードの瓶詰めがずらりと並び,まるで大人のワインコーナーのように充実しています。しかも,保育園でもこの市販の離乳食が普通に提供されているのです。

私が実際に離乳食期に手作りしたものといえば,お粥くらい。たまに出汁で野菜を煮たりもしましたが,それも「日本の味に慣れてほしい」という思いからでした。あとは市販品をフル活用。結果,私はとてもリラックスしてこの時期を過ごすことができたのです。
なぜドイツの親は離乳食を手作りしないの?
「手作り=愛情」という価値観が希薄
日本では,「手作り=愛情」という考えが根強く,市販のものを与えることに罪悪感を抱くママも少なくありません。しかし,ドイツではそういったプレッシャーはほとんどありません。
夕食文化を見てもそれは顕著です。ドイツでは「Kaltes Essen(冷たい夕食)」が一般的。パン,チーズ,ハム,野菜をお皿に並べるだけの簡単な食事に,誰も文句を言いません。

Kaltes Essen
ドイツ人の同僚は,実際にこういう夕飯を食べているようです。
病院食で初めて経験した時は,正直なところ,寂しさを感じました。
そんな文化の延長線上に,離乳食もあるのかもしれません。
むしろ,「親がストレスなく育児をすることが,子どもにとっても良いことだ」という価値観が主流です。そのため,楽できるところは楽をしようという姿勢が一般的になっています。
市販の離乳食への信頼が厚い
ドイツではオーガニック食品の基準が非常に厳格で,「HiPP」や「Alete」などの老舗ブランドが安全で栄養バランスの取れた離乳食を提供しています。保存料なし,添加物なし,それでいて種類豊富。まさに「安心して使えるベビーフード」が揃っているのです。
「いいものがあるなら,それを使えばいい」—そんな合理的な価値観が根付いています。
「親のストレスを減らす」ことが最優先
ドイツでは育児全般において,「親が無理をしないことが大切」と考えられています。例えば,赤ちゃんの寝かしつけも「抱っこして寝かせる」よりも「赤ちゃんが自分で寝る力をつけるべき」という考え方が一般的です。
離乳食も同じで,「親が楽をすることは,子どもにとっても良いこと」という意識が強いため,市販のものを利用することに何の抵抗もありません。
また,レストランで離乳食期の子どもを連れている親もよく見かけます。その際,ほとんどのお店で離乳食の瓶を温めてもらえます。離乳食期の小さい子どもがいても,気軽に親の入りたいお店で食事ができるのも良い点ですね。
見れば納得! ドイツの離乳食コーナー
ドイツの離乳食コーナーは,まるで“ミニグルメフェス”。その多彩さに驚かされます。
4ヶ月からOKのタンパク質入りベビーフード
鶏肉,牛肉,鮭入りのペーストが,生後4ヶ月から! 日本では初期にお肉は避けがちですが,ドイツでは栄養源として積極的に取り入れられています。

Bioスーパーで購入できるタンパク質系離乳食。オーガニックながら,価格は左から1.75 €,1.55 €,1.99 €と良心的。小分け冷凍していた。

原材料
左:水,ジャガイモ 25%,鮭 20%,トウモロコシ粉 4%
中央:水,牛肉 40%,全粒粉米粉 9%
右:水,鶏肉 40%,全粒粉米粉 7%,食用植物油 0.8%
日本と同様,ドイツの離乳食も月齢ごとに形状や素材の大きさが分類されています。
- 4ヶ月〜(ペースト状のピューレ)
- 6ヶ月〜(少し食感のあるもの)
- 8ヶ月〜(より粒感のあるメニュー)
- 12ヶ月〜(大人に近い食事)
炭水化物のバリエーションが豊富
日本では離乳食の主食はおかゆ(米)が主流ですが,ドイツでは以下のような炭水化物が一般的に取り入れられています。
- 米(ライスが入った離乳食)
- ジャガイモ(ポテトピューレと混ぜたもの)
- パスタ(クスクスや小さなパスタ入りのもの)
多彩なラインアップで飽きのこない工夫がされています。
フルーツピューレ天国
ドイツの離乳食コーナーを見て驚くのは,フルーツ系のバリエーションの多さです。日本でも果物をすりおろして与えることはありますが,ドイツではフルーツピューレが豊富に市販されています。

- りんご,洋ナシ,マンゴー,バナナなどの単品ピューレ
- ミックスフルーツ(例えばマンゴー&バナナ,りんご&ブルーベリーなど)
- オートミールやヨーグルトと混ざったもの
これらはそのままスプーンで与えるだけなので,忙しい親にとってとても便利です。

大人がヨーグルトにちょい足ししてもおいしい
一食分がしっかりしたメニュー
ドイツの離乳食(幼児食)は,単品のピューレだけでなく,一食分のバランスが取れたメニューも豊富です。例えば,
- パエリア(鶏肉入り)
- ラビオリ(野菜入り)
- ヌードルABC(パスタ入り野菜煮込み)

定番のパスタの他に,パエリアやローズマリー入りのターキーなど,豊富なラインアップが揃う
こうした商品は,野菜・タンパク質・炭水化物がすべて含まれており,「これだけで一食完結」というコンセプトです。残念ながら,日本のベビーフードのように,2種類の味が楽しめるようなランチセット形式にはなっていません。
「市販=手抜き」ではない,「手間抜き」です
日本では「ちゃんとやらなきゃ」と思えば思うほど,肩に力が入ってしまう。でも,完璧であることが育児の目的ではありません。
市販品を活用することは「手抜き」ではなく,「手間抜き」。
ママの心に余裕があれば,その分だけ赤ちゃんにも優しくなれます。
シャンパンタワーの一番上のグラスが自分。幸せはシャンパン。一番上のグラスが満杯でないと、下の人たちに幸せは分けられない。
シャンパンタワーの法則
おわりに
手作りにこだわらなくてもいい。完璧じゃなくてもいい。
それでも,あなたの愛情は確かに赤ちゃんに届いています。
育児は「がんばる」ものではなく,「楽しむ」もの。
ドイツ式の考え方を少し取り入れて,もっと軽やかに,もっと自分らしく,離乳食期を過ごしてみませんか?
あなたの子育てが,少しでもラクになりますように。







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