日本では妊娠3ヵ月頃までに産院を決める人が>70%というデータ1があるように,妊娠が発覚して早めに産院を決め,そこで健診を受けていくのが主流だと思います。

ところがどっこい。ドイツは違うんです!36週頃になってようやく産院を決めます。出産の時以外はかりつけの婦人科に通い,そこで妊婦健診を受けます。

長女を妊娠した時,日本方式が世界のスタンダードと思っていた私にとって,出産ギリギリまで産院を決めないのはかなり衝撃的で,

「妊娠の経過も知らない先生がいきなり担当して大丈夫なの?!」

と心配になりました。なぜドイツでは36週ごろになってようやく産院に登録できるようになるのか,その超合理的な理由を紹介したいと思います。

妊娠検査薬で陽性が出て,まず初めに受診するのは婦人科のクリニックです。

ここで,妊娠期間中ほとんどの健診を受けます。妊娠27週(中期)までは4週ごと,妊娠28週の後期以降は2週間ごと,予定日の40週に到達すると2日に1回健診を受けます。

私のかかりつけ医は2Dの超音波検査のみができるクリニックだったので,妊娠20週ごろにドップラー超音波検査2ができるクリニックで精密検査を受けました。その時以外はかかりつけの婦人科で健診を受けています。

妊娠の経過はMutterpassと呼ばれる,母子手帳の母親用のセクションだけのもの(1冊で2度の妊娠分をカバー)に医者が記入していきます。Mutterpassは,いわゆるカルテで,出産の時に産院に伝えなければいけない妊婦健診の情報が全て載っているため,かかりつけ医のいるクリニックで妊婦健診を受け,産院で出産する時に連携がうまくいくようになっています。

待合室ではティーネイジャーからおばあちゃんまで幅広い年齢層がいて,かかりつけ医として定期的に受診しているような印象です。私のドイツでの友人たち(20-30代)は,みんな婦人科のかかりつけ医がいて,ピルの処方や子宮頸がん検診など定期的に受けています。

誤解を恐れずに書けば,ドイツの産院は登録してもしなくても大丈夫です。というのも,最後の砦として大学病院で受け入れてもらえるからです。

私が住んでいる街では,産婦人科のみがある産院が数ヵ所と,産婦人科と小児科が併設している大学病院が1ヵ所ありますが,取り扱う出産案件がうまく棲み分けされています。

産院では妊娠37週0日からの正期産のみを扱います。かつ,事前の健診で胎児や妊婦に何の異常も認められない場合のみ出産可能です。それ以外の案件は大学病院での出産になります。

我が家から1番近い産院は1-2ブロックの距離にあり,そこで産みたいと思っていました。残念ながら,長女の出産の時はハイリスク出産に分類されることになってしまっために叶わず,大学病院で産んでいます。長男の時は念願叶い近所の産院で出産しました。

また,出産後に何らかの理由で新生児が医療的なケアが必要と判断された場合は,救急車でNICUのある大学病院へと搬送されます。この場合,母子は病院が離れ離れになってしまうことも受け入れる必要があります。

ローリスクな正期産のみを扱うと聞くと,日本の助産院を想像される方がいらっしゃるかもしれませんが,大きな病院となんら変わりません。小児科がないだけで医療体制はしっかりしており,帝王切開や無痛分娩といった処置も行われます。

またドイツではフリースタイル分娩が主流で,丸いベッドや,天井から釣り下がる布製のロープ,U字の椅子や,バランスボール,浴槽(水中出産も対応可能)が分娩室にありました。分娩室の様子やフリースタイル分娩については,また別の記事で書く予定です。

大学病院では正期産を含め,早産やハイリスク出産を含む全ての出産を扱います。

例えば,近くの産院に登録していたとしても,37週の前に破水や陣痛がスタートしてしまった場合は大学病院での出産になります。超合理的ですよね。最後の砦として大学病院の存在があるので,最悪,産院に登録をしていなくても大丈夫なのです。

娘の出産場所が大学病院になったのは,妊娠中に胎児の心臓の心室に小さな穴と(心室中隔欠損)その穴を通して静脈と動脈を流れる血液がごく少量混ざっていることがドップラー超音波検査2で確認されたからです。小児心臓の専門医も穴を発見するのに苦労するほど小さい穴だったので,生まれてすぐに医療行為が必要となることはないだろうという見立てはありましたが,念のため大学病院で出産をした方がいいということで,大学病院になりました。

大学病院はローリスク・ハイリスク問わず救急搬送も受け入れているので,なるべく分娩室を空けておきたいという医療側の本音が垣間見られました。

2度の出産を経てわかったのですが,私の身体はあまりうまく陣痛が機能しないようで,子宮の下半分のみが頻回で収縮してしまうようです。結果,ただただ痛みに苦しむだけで子宮口が開かずにお産につながりません。

陣痛間隔が3-5分程度なので大学病院の産科に向かったものの,まだ子宮口が全然開いていないので,

「2-3時間散歩をしてきてください」

「もう1度家に戻ってください」

と言われ2度追い返されました。自宅に戻り,陣痛のたびに夫にテニスボールで尾骶骨を押してもらい,ひたすら我慢していましたが,深夜,痛すぎて嘔吐+胎盤も剥がれてきてかなり出血してしまいました。結構な量の出血に怖くなり,病院へ向かいました。3度目にしてようやく,大学病院の産科で待機することを許されました。

痛みに苦しみながら何往復もした大学病院までの道のり(路面が凸凹で,車が揺れるたびに陣痛を弾き起こす)はしばらくトラウマになりました。。。

一方,近所の産院(産婦人科のみ)は大学病院よりもアットホームな印象でした。2度目の出産は破水からのスタートだったので,感染症対策の点滴を受ける必要があり,病院待機しなくてはいけませんでした。陣痛待ちの間も定期的に私の様子をチェックしにきてくれ,スタッフの皆さんが優しかったです。

その後,私と子供達を担当してくれた訪問助産師(ヘバメ)から聞いた話では,近所の産院のスタッフは長いことその病院で働いている方が多いらしく,そういった事情もアットホームな雰囲気に一役かっているようです。

ドイツでは妊婦健診はかかりつけ医のいるクリニックを受診し,出産が正期産(妊娠37週以降)かつ妊娠の経過で何も問題がない場合は産院で出産可能。早産やハイリスク出産,緊急搬送を含む全ての出産は,小児科と連携のできる大学病院がセーフティーネットの役割を担っています。このような理由から,ドイツでは出産ギリギリの36週ごろに産院の登録を行うのです。

初めての妊娠の時は登録時期が出産ギリギリすぎて落ち着きませんでしたが,2度の出産を経た今は,超合理主義でドイツらしいなと思います。

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Mamamarie

ドイツ在住。二児のママ。

大学院卒業後,ポスドクとしてドイツで働く。リケジョ。

このブログでは海外での出産・育児や日常生活をシェア。海外生活で色々とカルチャーショックに直面しつつも,リラックスした子育てライフを発信していきます。

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